「農業×福祉」で優しいコミュニティを次世代へ繋ぐ あい・ふぁ~む 西田 乙美さん

新しい生き方インタビュー

事業内容について

私達が新しく始めたのが、障がい者の方を対象とした「就労継続支援B型」の事業所です。

「就労継続支援B型」とは
一般企業に雇用されることが困難であって、雇用契約に基づく就労が困難である者に対して、就労の機会の提供及び生産活動の機会の提供を行う事業所

インタビューの様子

「あい・ふぁ~む」の特徴を教えてください。

「あい・ふぁ~む」は枚方の東部地域にあります。

周囲には、日本の原風景ともいえる里山や豊かな自然が広がっています。

あい・ふぁ~む周囲の里山

「あい・ふぁ~む」の特徴は、「障がい者の方が、畑や田んぼで野菜やお米を育てながら、多種多様な役割を担うことができる」というところです。

室内作業だけでは、同じような工程ばかりが続き、作業所に閉じ込まりがちになってしまいます。

色んな役割が事業所内にあることで、一人ひとりの能力や個性にあった作業に携わることができます。

1ヘクタールの田畑で野菜を栽培し、採れた野菜をスーパーやイベントなどのマルシェ、またスイーツ店に販売してます。

その過程で沢山の役割が生まれます。

田畑の耕作・収穫・野菜の袋詰め・シール貼り・スーパーでの陳列などの作業があります。

屋内作業も生まれるので、屋外作業が苦手な人にもたくさんの役割があります。

視覚障がいのある人には、ネット販売のお手伝いもしてもらっています。

太陽の光を浴び、土に触れて五感に働きかける。

それは回復に繋がると考えています。

自閉症の人は、室内で大きな声を出したりする場合があります。

畑であればどれだけ大きな声をだしても大丈夫ですし、自然の中で体を動かすことで、自閉症の人の心が落ち着く様に感じます。

自閉症、知的障害、発達障害のグレーゾーンの方には、とても良い環境だと思います。

また、私たちの事業所では、障がい者の方に最低賃金を支払えるような仕組み作りを目指しています。

「就労継続支援B型」では「日中の居場所作り」や「自立・就労の訓練」が中心のため、雇用契約を通常は結びません。

その為、一般的にお支払いする工賃は、非常に安価です。

私たちはそれを改善するために、玄米発酵食品を販売したり、発酵食品レストランを開設する計画を練っています。

また自分達が作った野菜を加工して、防災食を作ることも実現できればと思っています。

このような取り組みを通じて、障がい者の方に最低賃金をお支払いすることを目指していきたいと考えています。

販売する「たけのこ」と「米ぬか」。たけのこは事業所のすぐ裏の竹林でたくさん採れる

どのような思いで施設を運営されているかを教えてください

弱者に対して「もっと優しい心をもってもらいたい」という思いがあり、施設を運営しています。

私たちは高齢者向けの施設も運営しています。

日本では医療保険が発達していて、病院で最期を迎えると思っている人が多いと思います。

ただ、点滴などの延命治療をすると、すごく苦しんで最後を迎えることになってしまう人がいます。

人は食べることができなくなって、老衰で枯れる様に亡くなる方が自然で楽だと感じます。

「近しい人との繋がり」が実感できる暖かい雰囲気の中で、天国に旅立って頂きたいと思っています。

私はこの施設やコミュニティを通じて、「思いやりや優しさがずっとここに残って欲しい」という理想があります。

高齢者や障がい者の方が「地域と繋がる」ことで、一人でも多くの方に「弱者に対しての優しい気持ち」を知ってもらいたいです。

またそれだけではなく「地域の方々が繋がる」ことで、私の想いが次の方に繋がって、このコミュニティがずっと続いていって欲しいと思っています。

目に見えるものはいつかなくなりますが、「目に見えないものがずっと残る」と思っています。

また、このようなコミュニティが存続していく為には、里山保全、環境保全、自給自足、自家発電といった「自然循環型生活」も大切だと考えています。

日本は地震列島ですし、20年以内に大地震が起きると言われています。

いつ戦争が起きて、ミサイルが飛んでくるか分かりません。

私たち日本人は、危機感が無さすぎるのではないでしょうか。

子供や孫の世代が生き延びていける様に、その準備をしたいと思っています。

何かあったとしても小さな畑があれば生きて行けますし、その為のノウハウをしっかり身に着けて、次の世代に伝授していきたいと思っています。

これから取り組みたいことを教えてください。

映画のパンフレット

ひらかた万博で、「農福連携」に関するドキュメンタリー映画を上映したいと考えています。

たくさんの人に「障がい者の方と農業をすることって、こういうことなんだ」ということを、知ってもらいたいです。

枚方市は今までも「弱者に優しい町」だったし、これからも弱者に優しく過ごしやすい町であって欲しいと願っています。

その為には、私たちの考えを積極的にアピールしていくことが必要だと思っており、ひらかた万博共創プラットフォームで対話を続けています。

あい・ふぁ~むではご質問・見学・作業体験など随時受付中です。
利用方法や利用対象などについても詳しくご説明させて頂きます。
お気軽にお問合せください。

また、畑や作業所でのボランティア見守り隊も随時募集中です。

自然に囲まれたあい・ふぁ~むで皆さまをお待ちしております。

就労継続支援B型事業所 あい・ふぁ~む
〒573-0118 大阪府枚方市杉山手3-28-70
TEL:072-800-1322
FAX:072-800-1323
E-mail: ai_farm@purim.bz

あい・ふぁ~むネット
https://aifarmnet.base.shop/

株式会社Purim
http://hp.kaipoke.biz/ysf/

ドキュメンタリー映画 「種まいて水やって」
https://tokinotsukasa.com/video_works/shizensaibai-party/

西田さんの過去の記事はこちら
「私のビジョン」 株式会社Purim 代表 西田 乙美氏
https://snok.org/reason-to-live/purim-nishidasan/

畑とともに。スローライフな老人ホーム
https://snok.org/new-way-of-life-interview/purim-2/

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