介護付き旅行サービス 瀧本 法和さん

新しい生き方インタビュー
プロフィール

瀧本さんは、介護付き旅行サービス 和-なごみ- の代表取締役をしておられます。
26歳の時、祖父の最期と向き合う中で「自分が両親や周りの人に出来ることは何だろう?」と人生の目的を考え、介護の仕事を始められました。
介護スタッフから施設長まで様々な立場で福祉の仕事を経験後、介護付き旅行サービスをスタートされました。

介護業界に入られたきっかけを教えて頂けますか?

介護職になるまでは、会社員として技術系の仕事をしていました。

私が26歳の時大好きだった祖父が末期のがんで突然入院をしました。 

祖父は優しくいろんなことを話してくれました。

私にとって憧れで誇らしい人でした。

病気の痛みで思うように相手に言葉が伝わらない不自由さから、涙を流して「家に帰りたい」と言い続けた祖父。

その後、悲しい表情だけを残し病院で他界しました。 

祖父はいつも泣いていました。

とても尊敬していた祖父の人生は、この最期で本当に幸せだったのか? 

生まれ育った自宅の畳の上で、家族や孫に自分の死を見送られて世代交代をしたかったのでは? 

それから人の死について考え、人は自分の家で死にたいんだ。そう確信しました。 

そして、自分が両親や周りの人に出来ることは何だろう?と人生の目的を考え、介護業界に入ることを決意しました。

介護付き旅行サービスを始められた理由を教えてもらえますか?

介護業界では大手の会社で働いていました。

会社の運営するグループホームや小規模多機能など様々な施設で働き、訪問介護にも携わらせて頂きました。

利用者さんに深く関わるスタッフ職から、スタッフのサポートが主な業務となる施設長やエリアマネージャーまで、幅広く経験させて頂きました。

たくさんの人と関わり仕事をしている中で、これから迎える超高齢化社会に向けて

何をしないといけないのか?

何ができるのか?

本当に自分にやりたいことって何だろうか?

ということを考えました。

その時感じたのは、皆さんに笑顔溢れる人生を送ってもらいたいということでした。

私がやりたいのは、「人の生き方」・ 「家族とのふれあい」 ・「人生の最期」を大切にすることだと思いました。

介護保険を使えない自立している人や、65歳未満の方で一人暮らしの人は、孤独な環境におられる場合が多いです。

この様な方々をどうにかしたいと考え、当初は介護保険ではサービスを提供できない方々に対する、安否確認や外出支援のサービスを考えていました。

様々なサービスを考える中で、利用者様の生活の質をあげ毎日をイキイキしてもらう為に貢献したいという想いから、当初の計画を特化して創設したのが、「介護付き旅行サービス 和-なごみ-」です。

-和-の事務所

介護付き旅行をされている中でどのようなことを感じられていますか?

昔デートした場所に、また夫婦2人で行きたい。

子供達が小さかった時に一緒に楽しく過ごした思い出の場所に、また一緒に行きたい。

お孫さんの結婚式に同席させてあげたい。

大好きな釣りに連れていってあげたい。

昔、お父さんやお母さんにたくさんの場所に連れて行ってもらったことを思い出し、今度は自分達がお父さんやお母さんを色々なところに連れて行ってあげたい。

家族の数だけたくさんのご要望があります。

様々な旅行にご一緒させて頂きましたが共通して感じるのは、家族や夫婦で旅行に行かれる事によって、昔あった楽しい会話が再び生まれるということです。

施設に入所している方の中には、外出することがほとんどない方もおり、旅行によって家族が再びふれあうことで新しい人生が生まれることもあります。

介護をうけておられる方の中には、サービスを日常的に受けることで依存的になり、自分から何かをするという意思が弱くなっている方もいらっしゃいます。

本来ならできることも、できなくなってしまいます。

行動範囲もどんどん狭くなってしまいます。

それが10年20年と経ってしまうと、自分で目標を持つということを考えもつかない様な状態になってしまっている人もいます。

施設や家から一歩外の世界に出て、 過去の思い出の場所を訪れたり、家族の方との大切な時間を過ごすことで

「いつでも、いくつになっても何でもできるんだ」

「自分でやりたいことができるんだ」

ということを、思い出して頂ければとてもうれしいです。

旅行に行かれる前の表情と、帰りの表情は全く違うこともあります。

旅行に行くことで、新しい目標が生まれることがあり、それは生きていく上で本当に大切なことだと思っています。

それが生きる意味や幸せに繋がっていくのだと思います。

介護の魅力はどういったところにありますか?

私の介護職としての喜びの原点は、訪問入浴をしていた時に出会った、ある利用者の方の笑顔にあります。

今でもその笑顔は忘れられません。

「その人と一緒にいるだけで楽しい」

「その人を見ているだけで楽しい」

「その人と関わること自体がうれしい。」

「その人の世界に入って話をしていく」

そこにこの仕事の喜びがあると思います。

これは介護の世界に飛び込んでみないとわからないことではあるのですが。

これから超高齢化社会がやってきますが、どのようなことを考えていく必要があるでしょうか?

多くの人が根底の部分では同じ考えをもっておられます。

それは、「高齢者や障がい者の方に元気に楽しく過ごして頂きたい」ということです。

そういう考えを持ちながら、できる人ができることを地道にしていくことが大切だと思います。

皆さんがそれぞれ行動していく中で、それぞれがくっついたり離れたりしているのだと思います。

-和-の事務所

介護付き旅行サービス 和 -なごみー
http://nagomi-support.jp/

大阪府柏原市大正1丁目3番33号 rasisa r3
TEL  072-971-5300
営業時間 8:00〜21:00
定休日 年中無休

編集後記

瀧本さんとお話していて感じたのは、福祉業界でのキャリアからにじみ出る「真剣さ」。

高齢者の方が幸せに生きて頂くにはどうすればよいか?ということを考え抜いてこられたのだなと感じました。

その様な中から生まれだされたサービスが「介護付き旅行」だと思います。

瀧本さん自身が人生の中で見つけた「やりたいこと」と、「やっていること」が一致しているのだということを強く感じました。

スノックのビジョンに「 もっと広い意味で「働く」ということをとらえなおし、明るい未来を形作っていくことを「働く」にできたらこれ以上の幸せはないと思います 」とありますが、瀧本さんの働き方は、まさしくこれに合致しているのではないかと思いました。

「働く」ということを考えるとき、瀧本さんの「働き方」には大きなヒントがあるのではないかと思います。

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