「しゃべり場カフェ」主催者の小原日出美さん。
株式会社ジッセント・シップで以前はケアマネージャーとして働いておられました。
現在はデイサービスの職員として働きながら、休日に「しゃべり場カフェ」を開催しておられます。

今回は小原さん主催の「しゃべり場カフェ」に参加させて頂きました。
この集まりは介護の現場で働く様々な職種の方が集まって、自分の想いや考えを話し合う場です。
今回参加されておられた方々も本当に多職種!でした。(今回は6名参加しておられました)
・介護・障がい・保育関係の事業所の営業統括(小原さん)
・複合高齢者ケア施設勤務のケアマネジャー
・ヘアサロン&訪問美容 店主
・障がい者関係の介護福祉士
・高齢者ケアの介護施設職員
・NPOのメンバー(私)
初めて参加する方もいらっしゃる中、とても和やかな雰囲気で「しゃべり場カフェ」はスタートしました。

「しゃべり場カフェ」とは
『「しゃべり場カフェ」に来られる方は、「話をしたい!」と思っていることがある。それを引き出すのが「しゃべり場カフェ」。
毎日の仕事の中で、不安な事、疑問に思っている事、悩み事など沢山の思いを抱えてる方がたくさんいらっしゃいます。
それをみんなで話し合って、気持ちを楽にしてもらいたい』
と主催者の小原さん。
今回もたくさんの話題がでました。
「現場はなかなか一人では変えれない!」
「介護職でも世代間で介護感が異なる。新しい介護はなかなか年配の方にわかってもらえない」
「利用者の方に「手取り足取りしてあげることが介護」と思っている人と、「生きがいを持ってもらうお手伝いをすることを介護」と考えている人がいて介護感が異なる。」
「以前は利用者さんのことだけを考えているケアマネ、家族の方のことだけを考えているケアマネがいたが、今は両方のことを考えることができるケアマネが増えてきている。その様なケアマネは地域での引き出しが豊富」

職場ではなかなか本音で言えない様なことがどんどん話題に上がってきます。
みなさん本音でお話しておられるのがとても印象的でした。

なぜ今「しゃべり場カフェ」なのか
『介護の仕事は人と接する仕事ですが、職場によっては人間関係が悪くなって辞めてしまう人もいます。
せっかく介護の仕事が好きで入ってきたのに、そういう人間関係で辞めてしまってはもったいない!
一人でも多くの方に楽しく介護を続けてもらい、利用者の方も気持ちよく介護を受けてもらえる様になればいいなと思っています。』(小原さん)

介護職員の底上げについて
会話の中で次の様な話になりました。
「看護師さんや保育士さんは養成学校を出ないと資格が取得できないので、一定の同じ知識のもとで仕事をしているけど、介護職員は無資格でもなれる。
みんなの経験値がばらばらで、想いも考えもばらばら。価値観が全員違う。」
それに対して他の方が
「そういった想いや考えの違いから、自分が悪いんじゃないかと考えてしまう人がいる。
そういった場合にこのような場があることを知っているか知らないかは大きいと思う。
話をすることでみんなもそう思ってたんだ!ということがわかり、「こういうやり方あるんと違う?」という新しいアイデアをもらって職場で生かすことができる場合がある。」

大切にしているものが異なるために人間関係が悪化してしまうことは多くの職場で発生することだと思います。
職場の外で自分の価値観と異なる人と話をすることで、自分の大切にしている考え方自体が、必ずしも人にとっては正しくないということに気付くことがあります。
その発見によって、自分と考え方が違う職場のメンバーを尊重しなおすこともできるでのはないかとお話を聞いていて感じました。

話し合うことによって得られるもの
様々な「他者」と関わりを持つことで多くの知識や自分とは異なる視点を得られる機会を作ることは、介護職の成長意欲を満たすことにも寄与できるはずです。
パーソル総合研究所 コラム -「他者」との交流を通じて介護職の成長をサポートする- より
「悩んでいるのは、自分だけではなかった」
「こんな方法があったのか」
「この人みたいになりたい」
「自分は社会の役に立っている」
「他者」との交流を通じてこのような実感を持つことが、「明日はもっと、こうしてみよう」というモチベーションにつながり、介護職の成長をを促していくのではないでしょうか。
私にとっても 「しゃべり場カフェ」での、普段自分の職場では使っていない「ことば」や「表現の仕方」はとても新鮮でした。
利用者さんとの出来事・仕事中に感じた感情・家庭での出来事など、言葉の端々にたくさんのヒントが隠されている気がしました。
家族とも、友達とも、職場の同僚とも異なるメンバーと話をすることで、人生が変わる様な「ことば」に出会うチャンスがあると思います。

最期にこの日最も心に残った小原さんの言葉を紹介します。
「しゃべり場カフェ」 は愚痴や悪口を言う場ではなく、前向きに学びあう場
みんなで作り上げて、育てていく場所。
仕事のことや地域のことでお話したいなと思った方は「しゃべり場カフェ」に参加してみてはいかがでしょうか。
また、自分の地元でも「しゃべり場カフェ」を開催してみたいな!と思われた方は、小原さんまでご相談ください。

介護多業種広場 しゃべり場カフェ
https://www.instagram.com/looop1217
chain.of.smile1217@gmail.com
(参加ご希望の方はメールお願いします)滋賀県東近江市八日市金屋2丁目2-5 株式会社ジッセント・シップ内
近江鉄道八日市駅から徒歩10分
毎月第4日曜日 10時から12時
料金:一人500円(ドリンク付き)
株式会社 ジッセント・シップ
URL
https://www.z-ship.com/
https://www.instagram.com/zship.honsya/
政治哲学者のハンナ・アーレントは「「働く」は3つある」と言いました。
1つは「労働」
やりたくない仕事でも我慢して割り切って働き、その報酬として「消える対価」を得る。
消える対価の代表例はお金。
そのお金で、仕事が休みの日を楽しむ。
2つ目は「仕事」
自分たちのしている仕事が社会のため、未来のために役に立っていることを理解して働けることが仕事。
最後の一つは「活動」
お金を得ることができなくても「やりたいからやる」。
「仕事」や「活動」が多くなるほど社会は生きやすい社会になると言われています。
小原さんは『私は介護は輪廻転生だと思っています。いい介護をしていたら、自分が介護してもらる立場になった時良い介護をしてくれる。一人一人が想いを持ってつなげていくことが大切。』と言っておられました。
小原さんにとって「しゃべり場カフェ」は「活動」で、未来をよくするために「やりたいからやる」ということだと思います。
自分の中でも日によって「労働」「仕事」「活動」と同じことをやっていても捉え方が変わるタイミングがあります。
自分の職業を「やりたいからやる」という「活動」にすることができれば、人生の多くの時間をとても大切に使うことができるのではないかと感じました。

NPO法人スノック代表。大阪府枚方市在住。
最近は畑を借りて、野菜作りに邁進する日々。
野菜作りなどに興味ある人募集中!
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