東さんは枚方市駅近くのカレー屋さんの店長で現在38歳。
カレー屋さんをしながら、チェーンソーを担いで山に入って竹林整備をしたり、畑を借りてたまねぎを5000個も植えたりしています。
なぜカレー屋さんが山奥でそんなことをしているのか?
東さんにお話をお伺いしてきました。
今までの仕事の経歴を教えて下さい
僕はサラリーマンを28歳の頃までしていました。
サラリーマンを辞めたのは、上司の姿を見ていてこのままで良いのかと強く感じたから。上の人は夢も追いかけていないし、何もしていない様に見えました。それで幸せなのか?と疑問を持ちました。
今考えると、同じ職場でずっと働き続けることはとても大変で、素晴らしいことなのですが、その時はそれが理解できなかった。
そんなことを考えている中で、食事を作って人に喜んでもらいたいと思う様になりました。それでサラリーマンを辞めて、スパイス工房「燦」というカレー屋さんを始めました。
どうして、竹林整備や野菜作りをする様になったのでしょうか?
カレーを美味しくする為にはどうすれば良いかと必死で考える中で、材料にこだわるようになりました。色々と調べている内に、なぜ中国産のむき玉ねぎがこんなに安いのか?という様な、食品に関する疑問が浮かんできました。
輸送コストなどを考えると異常に安い。そんなことを考える内に、農薬の問題などが分かってきて、これはもう自分で作るしかないなと思いました。
そんな時に、竹林を綺麗にして畑を作るというプロジェクトに出会いました。実際にやってみると男のスポーツという感じでとても楽しかった。
また、沢山の利用されない竹があるのを見て、もっと有効利用できないかと思い、竹について奥深くまで追求してみたくなりました。
それからは、竹を竹炭にして畑に鋤き込んだり、粉砕してチップにしたものを畑のマルチにしたり、コンポストで肥料を作ったりするようになりました。
今では、竹を有効利用した畑で、玉ねぎやスパイスなどを作って、それをカレー屋で使うという循環が少しずつ出来てきています。
これからどんな風に働いていきたいと思いますか?
タケノコ販売
木を切って薪を販売する
竹を切って商品にする
果樹を作る
しいたけを作る
獣害駆除
お米作り
カレー屋
という風に、昔の百姓のように、季節によって様々な仕事をしながら生きていきたいと思っています。
そんな風に働くことができれば飽きないし、そもそも休みもいらないんじゃないかと思います。どれか一つの仕事が無くなってしまっても、すべてが無くなる訳ではないし、暇なときは近所の困っているお爺さんを手伝いをするのもありですね。
そう考えると僕の「働く」ということは、「仕事」と「遊び」の間にあるものかもしれない。
「働く」ことは「本気の遊び」とも言えます。
身を削って本気で遊ぶことで、それが仕事になる。竹を切って楽しかったというのは趣味で、そこから更に本気で取り組むことで、それが何か事業に繋がる。
自分のこういった働きが、自分に何らかの形でかえってくるのは、20年以上先かもしれない。またそれはお金という形ではなく、全然違った報酬かもしれない。
でもそれで良いと思っています。僕にとって働くことは、自分の存在意義を追い求めることだと思います。
サラリーマン時代は、働いた分はきちっとお金がほしいと考えていました。他の人と比べてこれだけ働いたのだから、もっとお金が欲しいと。その時はお金というものが分かっていなかったし、すごくお金に囚われていたと感じる。
そこから貨幣についてすごく勉強しました。今は少しはお金に囚われずに生きていけてる気がしています。
ただ、若い人と一緒に継続して取り組む為には、ご飯を食べることができる仕組みを作らないといけない。一緒に働いてくれる仲間の給料も上げてあげたいし、休みもちゃんと取れるようにしてあげたい。また若い人が技術を得ることができるように、投資もしていきたいと思っています。
これからのビジョンを教えてください。
「次の世代にバトンタッチするときに、豊かであってほしい」という思いがあります。
食糧自給率が37%ということが大問題だと考えています。輸入に頼っている僕たちは、輸入がストップしてしまうと、食糧の取り合いをしないといけなくなってしまう。そのようなことにならない様に、自分達の食事は自分達でまかなうことが必要です。
その為には「地産地消」が大切だと考えています。ネットで簡単にものを買えてしまう世の中だからこそ、「買ってくれてありがとう」「売ってくれてありがとう」というやり取りが大切。地域でお金を回すことで、農家の人や地域で働く人にスポットが当たれば良いなと思います。
行政は中心地ばかりを開発しようとしている様に見えます。ミクロな視点でみるとその様な考え方も理解できますが、マクロな視点で見た場合、もっと違った視点も大切にしないといけないと思います。
来年には竹林整備の面積をぐっと広げていきたいと思っています。そうなると今のペースでは間に合わないので、稼働日数を増やして取り組んでいきたいと思っています。
耕作放棄地の問題などを少しずつ解決していきながら、地元を助けていく。そんなことがさらっと言える、面白いやつらになりたいと思っています。
スパイス工房 燦(SUN)
住所:大阪府枚方市西禁野1-1-17
電話:072-800-1752
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NPO法人スノック所属。大阪府枚方市在住の40代。
趣味はタッチラグビー・野菜作り・北欧の照明
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