NPO法人ひととひと 代表理事 高橋好美さん

新しい生き方インタビュー
プロフィール

NPO法人 ひととひと 代表理事
ソラウミライフデザインオフィス 代表
東京大学大学院修了(理学修士/生物学)

今回は京都市右京区にあるNPO法人「ひととひと」の高橋さんにインタビューさせて頂きました。

「ひととひと」の活動について教えてもらえますか?

「私こういう生き方したかったんだ」

とか

「こういうことを大事にしていたんだ」

そういったことに気付くための種を撒いていきたいと思ってます。

そのためのきっかけ作りとして、映画上映や各種ワークショップなどを開催しています。

「ひととひと」の活動の原点はどこですか?

私がコーチングで学んできたことが 、NPO 活動の土台になっています。

コーチングに出会ったのは大手企業でいわゆるバリキャリとして働いていた時でした。

コーチングの研修は3日間だったのですが、その研修の中で

「私は本当に自分が生きたいという生き方をしていないな」

ということに気付かされました。

私は大学院までは本当に自分がやりたいことをして、自分の為だけに生きてきました。

そういった生き方を子どもたちに教えてあげたいと思い教育業界に入ったのですが、会社から求められるものであるとか、社会の正解であるとか、世の中的に正しいもの、そういったものに流されてしまっていたのだと思います。

私のやりたいことは

「目の前の人が本当に願っている生き方をするためのサポートがしたい!」

ということだったんだということ思い出させてくれました。

その後、東日本大震災がありました。

いろんな人の経験を揺さぶる出来事だったと思います。

この後自分がどうやって生きていくんだろうと考えた時に、「私はコーチとして生きていく」ということを決めました。

それはコーチングを生業にするということではなく、

「コーチという生き方をする」

ということでした。

コーチの語源は馬車です。

コーチはその人が行きたい場所や、その人の願いを聞いて一緒に伴走します。

目の前に何か願いを持っている人がいれば、その願いを少しでも叶えることを支援していく。エンパワーしていく。

そういったことを私の生き方としてやっていきたいと思いました。そういう姿勢を決めたということです。

具体的な活動について教えて頂けますか?

「JOY∞JOBシネマ」という活動では、 主にドキュメンタリー映画を上映しています。

映画選びの基準は「私たちが見たいな」と思った映画です。

映画を見て違和感を感じたり共感したり驚いたりしながら、自分の枠を外して違う視点から見ることを大切にしています。

映画を見た後に参加者同士で対話をするのですが、そこでは「自分が何を大切にしているか」「何をこの人生で願っているのか」ということが話題になることがあります。

参加者同士で、何か本当に大切なことを話しているような瞬間を目にすると、やっていて良かったなぁと思います。

「ひととひと」のメンバーで大切にしていることは何ですか?

私達は私達でいることがとても大事です。

私達がNPOを通じて見ている世界は 『楽しいことだけで生きていこうよっていう世界』 です。

ワクワクできることの中に辛いことももちろんありますが、それも含めて楽しい。

そういったことをひっくるめて、すごい面白い経験をしているなと感じます。

「自分で生きたいように生きていい。そういう風に生きる力を一人一人が持っている。その方法を一緒に考えて作っていくのは、すごく楽しいでしょ」

京都の仲間達と出会い、そういう世界って作れるんだなって気づきました。

「自分の願い」と「今やっている仕事」を繋げていくことは簡単ではないと思いますが、何かアドバイスはありますか?

自分がどういう気持ちでいたいのか、どんなシーンを創出したいのか。

その中にあるエッセンスやキーワードに重きを置くことで、穏やかにしなやかに生きられると思います。

職種などの形にこだわるとしんどくなります。

自分の辛さみたいなものがどこにあるのか?

本当に願っていることがどういったものなのか?

色々な形で表現できるはずだと思います。

私も「コーチという生き方をする」というザクっとした生き方ですが、それで色々な仕事ができています。

プロのコーチとしてライフコーチをすることもあるし、コンサルタントの様に事業のあり方や進展をサポートすることもあります。

Web 制作という形で手伝う形もありますし、NPOという形で手伝ったりすることもあります 。

「好きなもの」とか「やりたいもの」とか「天職」って降ってくるわけではないんです 。

本当に自分の生き方に正直に仕事をしていくと、目の前に手綱がやってくる感覚があります。

急にバーンと大きいものが見つかるのではなくて、自分自身を見つめる機会を大切にして、目の前のことをやっていくと、順繰りに手繰り寄せてたどり着くみたいなことがあると思います。

私も最初は待っている人でした。

コーチとして生きようと決める前までは、何かいいことないかなってずっと思っていました。

コーチングを習った時に、 NPO を立ち上げて代表理事をするという未来は全く見えていませんでした。

コーチとして生きようと思った時も、プロのコーチになるとは思っていませんでしたし、会社を辞めるとも思っていませんでした。

いいことは待っていても来ないんですよ。

「好きなこと」とか「やりたいこと」、「天職」とか「自分を劇的に変化させる何か」とか、「世界を劇的に変化させる何か」とかは待っていても来ない。行動することです。

今後の展望について教えてもらえますか

まだ言語化できていない部分もたくさんあるのですが、どうしたら私たちが願っている世界が創れるんだろうと日々考えています。

この3年間で色々と試行錯誤しながら、NPO の仕組みや組織について考えてきました。

自分達の活動の広め方や、地域での活動方法などを中長期に考えられるフェーズに来たかなと思っています。

「ひととひと」との出会いを通じて、自分の人生をひらいていく人たちがもっともっと増えるといいなと思います 。

NPO法人 ひととひと
https://hitotohito.org/

高橋さんお勧めの本

高橋さんのインタビューをさせて頂いている中で
「あなたは何者ですか?」
「あなたは何が好きで何が嫌いですか?」

ということを聞かれている様な気がしました。

「LIFE SHIFT」という本の中で、著者のリンダ・グラットンは次の様に言っています。
「ありうる自己像の選択肢が大きく広がる時代には、実験を通じて、何が自分にとってうまくいくのか、自分が何を楽しく感じ、なにに価値を見いだすのか、なにが自分という人間と共鳴するのかを知る必要がある」

「ひととひと」さんの活動は、「何か本当にたいせつなこと」に繋がる活動だなとしみじみ感じました。

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