音楽ボランティアグループ「京都ピアノとうたの音楽ひろば」代表の上平知子さん。
生涯を通じ音楽に親しんでもらいたいと、ボランティア事業として「うたごえカフェ」を京都市内を中心に開催しておられます。
また、東日本大震災の避難世帯の子供達や一般青少年にピアノ・バイオリンの習い事支援もしておられ、避難世帯の受講者には楽器や楽譜の無償提供・貸与もしておられます。

この日は京都市下京区で開催された「うたごえカフェ」に参加しました。
「うたごえカフェ」はお客様から歌のリクエストをいただいて、 ピアノ等の生伴奏でみんなで歌って交流するものです。
会場の「ジョイント・ほっと」は精神障がいを抱える方々の就労継続支援B型事業所で、利用者さんが喫茶作業をされ受付作業もお手伝いされています。
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「うたごえカフェ」では参加者のリクエストで曲が決まります。
利用者さんやスタッフさんが一緒に歌われることもあります。
ジャンルは多様で、童謡・唱歌はもちろん昔懐かしい叙情歌・・・と演奏が進みます。
歌と歌のあいだで、上平さんの時事をふまえたトークもあり笑い声が絶えません。
お店に来た時は表情が硬かった人も、歌っている内に満面の笑みに変わっておられたのが印象的でした。

「うたごえカフェ」を始めたきっかけは?
うたごえカフェは「ただ歌を歌うだけの気楽な場があってもいいのではないか」という思いと、「高齢者の居場所事業」という地域のまちづくり活動が連携した形です。
まず私が住んでいる北区にある元喫茶オリーブ山という会場で立ち上げました。
当初の1年間は自己資金とお客様からの参加費だけで運営していましたが、2年目からは今後の確実な運営ビジョンをもち、京都市などの補助金の認証を受けて開催を続けてきました。
参加費は500円程度で、参加費と補助金から会場費・講師謝礼・チラシ代などの経費に活用しています。

「うたごえカフェ」の魅力は?
歌のうまい下手はあまり気にしなくて良く、初めて出会った人でも交流が楽しめるところです。
ここで出会って、2時間たっぷり歌や会話を楽しんでストレスを発散する。
シニアの方が自分の体調と相談しながら「事前申込なし」で参加して、毎日明るい気持ちになって頂ければと思います。
また会場によって伴奏者も変わります。今回はギターとフルートの演奏でしたが、第四土曜日は二胡・三味線・大正琴・バンジョーなども入っていました。また別の会場ではバイオリンが入っています。
会場によって雰囲気も違うので、伴奏楽器の違いも楽しんでおられるのだと思います。
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楽器の演奏者はどのような方ですか?
発足当初は私を含め5名から始めましたが、今はどんどん増えていってメンバーは40名近くになりました。
演奏の場・社会貢献の場として、「うたごえカフェ」で演奏されています。
平日はフルタイムで働き土日祝に活動される方もいれば、退職した後にこういった活動をしたいという思いで参加される方も多いです。
楽器の演奏を通じて同じ様な活動をしたいと思っている方はたくさんいらっしゃるでしょう。
一人では活動しづらい時も誰かと一緒ならばできるので、プロ・アマチュア問わず私達と一緒に活動していきたいという方のお手伝いを今後もしていきたいと思っています。
スケジュール等もこちらでプランニングしますので、そこで毎月演奏することができれば、音楽を通じた充実した毎日をおくることができると思います。


「京都ピアノとうたの音楽ひろば」を通じて得れたこと。
「音楽ひろば」をしなかったら出会えなかった人にたくさん出会えたことです。
以前の仕事ではきっと出会えない様な、世代も考え方も違う人とたくさん出会うことができました。
様々な人との出会いは、人生の中の大きな喜びだと思います。
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大切にしている習慣などはありますか?
フルタイムで働いているときは組織の一部として無我夢中に働き、身体のことは二の次でした。
退職後この団体を立ち上げて2年目くらいの時に、東日本大震災被災者支援のコンサートにかかわった直後に1週間ほど入院しました。
その時に、自分の後ろにはたくさんのお客様や生徒さんがいるということを改めて感じました。
その人たちの想いや期待に答えようと思うと、「健康」でないとだめだと思うようになりました。
自分の仕事のスケジュール管理徹底を始めたのはその時期からで、以前だったら昼はフルで働いて夜にピアノ伴奏をすることも多かったのですが、夜は極力休養に努めるようにしています。
自分の体のメンテナンスをしておく。
自分の毎日に余裕がもてないと、人の前でお話ししたり演奏するとき「余裕の無さ」が伝わってしまいます。
できるだけそういったことがないように、生活のリズムを整えるということを気を付けています。

これからの展望について
最近は介護施設などからの依頼が多くなってきました。
介護施設での演奏は、私達が主催して開催している「うたごえカフェ」と、音楽ボランティアとして出演している「うたごえカフェ」があります。
介護施設で入所・通所しておられる方には日々のアクティビティとして参加して頂き、またその「うたごえカフェ」を地域の方に無料で開放している会場もあります。
現在、団体を作って6年がたちました。開催回数も年間約180回とますます増えてきています。
うたごえカフェ以外にも事業としてやっている「ピアノ・バイオリン習い事支援事業」では、教えている生徒はシニアと子供で60人程います。
「ひとりで歌うのもいいけど、みんなで歌うともっと楽しい」
これからも参加される皆様の歌声と笑顔に包まれて、私達のボランティア活動も自分達が出来ることを出来る範囲で行ってまいりたいと思います。
http://blog.canpan.info/kyotoongakuhiroba/
E-mail
chopinpetite@gmail.com
TEL
075-493-1580
2013年結成。
東日本大震災の被災者などを支援する「音楽の習い事活動」が認められ、京都市の18年度「京都はぐくみ憲章実践推進者表彰」大賞を受賞。
上平さんは元京都府職員で退職後に、「京都ピアノとうたの音楽ひろば」を立ち上げられました。
「うたごえカフェ」は年間約180日開催で、生徒数も約60名いらっしゃるとのこと。
これからはマルチステージの人生を送る人が増えていくと言われています。
これまでは人生のステージは3つで、「教育のステージ」・「仕事のステージ」・「引退のステージ」があると言われてきました。
これから平均寿命が伸びる中で「仕事のステージ」が長くなると言われています。
「仕事のステージ」が長くなるという事に対して、みなさんはどう思いますか?
生活のために仕方なく仕事をしていて、自分の楽しみは余暇にあるという人にとっては、耐えなければいけない時間が増えるということにはならないでしょうか。
一方マルチステージの働き方という考え方は、生涯に2つもしくは3つのキャリアをもつ働き方です。
各ステージにおける働き方は様々で、金銭面を重視した働き方や、家族とのバランスを優先させた働き方、また社会への貢献を軸にした働き方もあります。
長くなる「仕事のステージ」をどうやって人生の輝く時間に変えていくか。
上平さんの生き方にはそのヒントがあるのではないかと思いました。

NPO法人スノック所属。大阪府枚方市在住の40代。
趣味はタッチラグビー・野菜作り・北欧の照明
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