
枚方市駅前の三矢町にある「街かどデイハウス枚方市駅前わくわく」の新古さんにお話しをお伺いしました。
代表の新古さんは民間企業で長年にわたり働かれた後、15年前に街かどデイハウスをスタートされました。
事業をはじめられたきっかけは?
15年より街かどデイサービスを始められたとお聞きしましたが、どのような思いでサービスを始められることになったのでしょうか?
今後、シニア世代が劇的に増加していく中で、社会を継続していく為には、介護ビジネスの必要性を強く感じました。そして、ヘルパー資格を取得するとともに、体のケアもできる様に整体の勉強もしました。
そして、生涯介護にかからない「ピンピンコロリ」の余生を過ごして頂くことが、これから継続的な社会を営んでいく上で重要であると考えました。その様な中、大阪府や枚方市で事業者募集していた「街かどディハウス事業」に名乗りを上げ応募し、平成16年4月よりサービスをスタートしました。

今後、人口構造のバランスが大きく変化する中で、どの様なことが必要になると思いますか?
シニア世代は「心の健康」と「体の健康」を、意識して保つことが大切になると思います。特に高齢者の方の孤立化は「心の健康」に大きな影響を及ぼすと思います。
「心の健康」を保つためには、やったことがないこと・新しいことにチャレンジすることがとても大切で、わくわくでは絵画やカラオケ・パッチワークなどの講座を通じて、新しい体験をご提供しています。
定年までの現役時代は、会社・家族・自分のことで一生懸命に生きる時間だと思います。例えるならば、 拳を握りしめながら、 呼吸を吸い続ける時代とも言えると思います。
一方、後半の人生は、呼吸、息を吐き出す時代。自己完成の時代だと言えます。自己完成とは「意識の成長と魂の完成」という意味です。
シニアの方々には、これまでの長い時間をかけて蓄えてきた様々な知識、人生の経験と年輪があります。そして、時間のゆとりと包み込む心、慈しみ深さなどを、周囲の人々や共同体と共有し、施すことができると思います。精神的な満足感を得れるのは、人々からもらうのではなく、分け与えるときです。「何を与えることができるか」ということが大切です。

大切に思っている言葉はありますか
オーストラリアのホスピスの介護人だったブロニー・ウェアが、死を前にした人々が最も後悔することを、次のように言っています。
ー死ぬ瞬間の後悔 ー
・自分に正直な人生を生きればよかった
・思い切って自分の気持ちを伝えればよかった
・友人と連絡を取り続ければよかった
・幸せを諦めなければよかった
(一部省略)

未来について
2040年には65歳以上の高齢者の数が3000万人を超えると言われています。かってない時代に突中すると言えますが、それまでに私たちができることは何かあるでしょうか?
2024年には、団塊世代が75歳以上になることにより、大きな病気を患う人が増え、社会保障給付費が膨張し、医療機関や介護施設が不足します。 また、2025年頃にはダブルケア(育児と介護を同時に行う)が大問題になると言われています。
介護保険の利用者数は年々ハイペースで伸びており、2016年で10兆4000億円であったものが、2025年には21兆円まで増加する予想もあります。少子高齢化がどんどん進行する状況下において、行財政改革が推し進められていますが、毎年1兆円近くも伸びる社会保障費が捻出できないことは明白です。
人生100年を迎えた今日、高齢者をお荷物扱いする風潮を打破するためにも、「健康長寿」を高めること。「生涯、介護を受けない元気な高齢者を増やすこと」こそが、人々が安心して経済的にも心身ともに豊かな活力ある街づくりができることの第一歩だと思います。

生き方に影響を与えた本
新古さんの生き方に影響を与えた本があれば教えてください。
まず第一にお勧めしたいのが、
「人生120年の選択」 一指 季承憲氏著 産学社
です。この本は本当にすばらしく多くの気づきを与えてもらいましたので、ぜひ読んでみてください。
他には下記の本もお勧めです。
「老いの才覚」 曽野綾子氏著 ベスト新書
「いのちの器」 日野原重明氏著 PHP文庫
「生きていくあなたへ」 日野原重明氏著 幻冬舎
「こころの泉」 上廣榮治氏著 社団法人 実践倫理宏正会
「演歌療法」で若返る 周東 寛氏著 コスモトゥーワン

街かどデイハウス 枚方市駅前 わくわく
住所 〒573-0051 大阪府枚方市三矢町2-2
TEL 072-844-3751
編集後記
旧枚方宿の街道沿いにある「街かどデイハウス 枚方駅前わくわく」は、歴史を感じるとても趣のある建築物の一部を利用したデイハウスです。

新古さんとお会いした時、他に女性2名が一緒にいらっしゃったのですが、3名でとてもアットホームな雰囲気で、楽しそうにしておられたのが印象的でした。
新古さんのおっしゃっておられたお話を聞いている中で、 新古さん自身が 「包み込む心、慈しみ深さなどを、周囲の人々や共同体と共有し、施すこと 」を意識して生きておられ 、「生涯、介護を受けない元気な高齢者を増やすこと」 を大切に考え、様々な講座をしておられることが伝わってきました。
また、わくわくでは15周年を迎えられたということで、集合写真を見せて頂きましたが、新古さんが目を細めながら、「みんな気がいい人ばかりです」と嬉しそうに言っておられ、心底皆さんの事を大切に思っておられるのだと感じました。
新古さんとお話している中で、新古さんがとても自分の生き方や考え方に、自信を持っておられるのを感じました。どうしてだろうと考えていましたが、私が考える答えは、新古さんが自分の歩む道を自分で選んで、進んでおられるからだと思います。
自分が大切だと思うことを、気の合う仲間とやっていくこと。
簡単には実現できないことですが、実現できれば素晴らしいことだと思います。

NPO法人スノック所属。大阪府枚方市在住の40代。
趣味はタッチラグビー・野菜作り・北欧の照明
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