「連帯(Solidarity)」という概念

スタディサークル

2026年3月、私たちは「スタディーサークル日本版ハンドブック」の作成に向けた第9回ミーティングを「Study Circles Japan」さんと共に開催しました。

今回のミーティングでは、スロベニアのスタディーサークル運営マニュアルなども参考にしつつ、私たちが作成するハンドブックの理念の根幹となる言葉の定義について、対話が行われました。

「連帯(Solidarity)」という概念について

ミーティングの前半では、北欧や国際社会において民主主義の基盤として語られる「連帯(Solidarity)」という概念を、日本の文脈でどのように表現するかについて議論が交わされました 。

日本において「連帯」という言葉は、過去の学生運動や労働運動と結びつきやすく、教育現場からは少し距離を置かれてきた歴史的背景があるのではないかという視点が共有されました 。

これに対し、「We(私たち)」、「協力」、「絆」、「結びつき」といった代替案が検討されましたが、「協力」では一時的な関わりに留まりがちであり 、「絆」では心理的な負担が重すぎるという懸念が示されました 。

スタディーサークルが目指すのは、他者の成長や幸福を自分のことのように大切に思い、知識を共同の富として分かち合う強い結びつきです。

安易に耳障りの良い言葉に置き換えるのではなく、日本社会が失いかけている「対等に協働する感覚」をインストールするため、現状は「連帯」という言葉を残しつつ、さらに議論を深めていくこととなりました 。

「スタディーサークルリーダー」と「ファシリテーター」

後半では、スタディーサークルを日本社会に根付かせ、持続可能なものにするための仕組みづくりに焦点が当てられました。

まず、日本の環境下で対話の場を成立させることの特有の難しさが指摘されました。

日本の教育では「誰かが正解を持っている」と考え、間違えることを恐れる傾向が強く 、答えのない問いについて共に考える経験が不足しています 。

また、譲り合いの精神がベースにある一方で、周りの目を気にして自分の意見を言語化できなかったり、そもそも意見を持つ必要性を感じていないという現状もあります 。

さらに、資本主義的な価値観が浸透する中で、お金を生み出さない活動や、結論が出るまでに遠回りをする非効率な対話に対して、価値を見出しにくい社会構造になっているという鋭い洞察も共有されました 。

こうした「正解がない非効率な対話」に慣れていない日本社会においては、場をホールドし、心理的的安全性を担保するファシリテーションの要素が欧米よりも強く求められます 。

しかし、スタディーサークルのリーダーは、単に客観的な進行役にとどまるものではありません 。

リーダー自身もサークルの一員であり、テーマに対して自らも学びたいという姿勢を持つことが不可欠です。

参加者同士が対等な関係で意見を交わし、リーダーも含めて「共に育つ」プロセスこそが、スタディーサークルの醍醐味であるという認識で一致しました。

スタディーサークル研究室の発足について

最後に、普及活動とリーダー育成の受け皿となる新たな任意団体のあり方について構想が練られました。

名称については、「協会」や「学会」のような権威的な響きを避け、フラットで探究心をくすぐる「スタディサークル研究室」とすることが合意されました 。

日本の一般的な組織で見られるような理事への権力集中を防ぐため、代表や会計といった対外的な実務担当は置くものの、内部的にはいかなる優越的権限も持たないという規約案が提示されました 。

組織の規模が拡大した場合でも、ピラミッド型の階層組織にはせず、自立した小さなサークルに分割して運営します 。

その際、情報共有や調整を担う「センターサークル」を設置しますが、全体の方向性やルールを決定する権限は持たせないように設計します 。

重要な意思決定は全体ミーティングで行い、安易な多数決は避け、全員が完全に同じ意見でなくとも納得できる着地点を対話を通じて見出す「同意」のプロセスを追求していくことが確認されました 。

コメント

タイトルとURLをコピーしました