私たちが語り合った、スタディサークルという“学びの場”のかたち

スタディサークル

私たちが普段取り組んでいるスタディサークルについて、「Study Circles Japan」さんと共にじっくり語り合う時間を持ちました。きっかけはある参加者から出た、スタディーサークルに参加していても「最初は何をしているのかよくわからなかった」「枠組みが見えにくくて不安だった」という率直な感想でした。

この言葉を出発点に、「私たちは何をしているのか?」「この場はどんな学びの場なのか?」という問いを、皆で共有し、掘り下げて、スタディーサークルの「日本版ガイドライン」の作成を試みることにしました。

“自由さ”と“戸惑い”のあいだにあるもの

スタディサークルは、一般的な講義形式の学びや、哲学カフェやソーシャルカフェのような対話の場とも異なります。ここでは、決まった先生や講義内容があるわけではなく、参加者一人ひとりが「自分の学びの主体」として、対話を通じて場をつくりあげていきます。

その自由さが魅力である一方で、初めて参加する人にとっては、「何をすればいいのか分からない」「正解が見えない」といった不安にもつながりやすいという課題も見えてきました。

特に「テーマが最初から決まっているスタディサークル」と、「参加者自身がテーマから決めていくスタディサークル」の二つの形があり、後者は自由度が高い分、戸惑いやすいという指摘がありました。自由であるがゆえに、どうしても最初は不安を感じやすく、そこに継続性と安心感をどう両立させるかが、私たちの大きな課題です。

そこで私たちが大切にしたいと思ったのが、以下の4つのエッセンスです。

参加目的の共有

スタディサークルの最初の段階で、「なぜ参加したのか?」「何を期待しているのか?」を一人ひとりが言葉にする時間を設けることの大切さを確認しました。目的の共有は、他者への理解と共感を生み、場への関わり方を深めてくれます。

継続的な対話

1回の集まりだけで完結するものではなく、何度も顔を合わせる中で、少しずつ考えが変わったり、自分の内面に変化が起きたりする。そうした“じわじわとした変化”が、このサークルの醍醐味です。継続的に対話することが、自己変容や相互理解を育てる土壌になります。

対等な関係性の構築

「教える人/教わる人」という上下の関係ではなく、「みんなが学び合う仲間」という前提で関わることが、この場の土台です。発言しやすい空気づくり、聞くことへの敬意、それぞれの違いを尊重することが、対等性を育みます。

合意形成のプロセス

何をテーマにするか、どんなペースで進めるか、どこまで深めるか──そうしたことも、参加者みんなで話し合って決めていく。それがスタディサークルの醍醐味であり、難しさでもあります。対話を通して「合意」をつくり上げていくプロセスこそが、「民主的な関わり方の実践」であり、スタディーサークルが社会的に価値があるとされる理由の1つです。

これらの4つの視点を意識することで、私たちが大切にしている「ただ知識を得るのではなく、共に生き方を問うような学びの場」というスタディサークルの姿が、よりくっきりと見えてきた気がします。

スタディサークルは、誰かが一方的に進行するのではなく、参加者一人ひとりの関わりで場が生まれ、育ち、変化していくプロセスそのものが学びです。時に混乱もありますが、それすらも含めて「自分たちでつくる場」の手応えがあるのです。

この日の対話のなかで、「スタディサークルって、やっぱり自分自身を知る場でもあるよね」という言葉が印象に残りました。他者と対話しながら、自分が大事にしたいことに気づいたり、揺らいだりしながら、新たな価値観に出会っていく。

そんな“変化の余白”を抱きしめながら、これからも私たちはこの学びの場を、少しずつ手作りしていきたいと思います。

コメント

タイトルとURLをコピーしました